木で出来ています。
さて、これは一体何でしょうか??
これは実は「とんとん」です。
「とんとん」と言っても、ピンと来る人は少ないでしょう。
昔、防水シートがなかった時代に(アスファルトフェルトもなかった頃)屋根の下地に葺いた防水用の材料で、木を薄く割ったもののことです。薄く割った木の板を重ねて葺くことで防水性能を得ようとした昔の人の知恵です。
屋根面は外からの湿気に耐えることが求められます。一方、内側からの湿気にも耐えなくてはいけません。かなり過酷な状況が屋根にはあるのです。
その過酷な状況を木の板を葺き重ねることで対応してきたのですが、一枚一枚の木の板を葺く手間は大変なものです。また、とんとんはメンテナンスをちゃんと続けることによって性能を維持します。昔は、瓦屋根も板葺き屋根も、数年ごとに全面的なメンテナンスをしていました。そのメンテナンスで古くなって痛んだ「とんとん」をこまめに取り替えていたんですね。そうしたメンテナンスをしないと性能が一気に落ちることがあるわけです。
現在は、「とんとん」を葺く手間も大変ですし、基本的にメンテナンスをなるべくしない方法が好まれますので、いつしか「とんとん」は防水シートに取って代わってしまったというわけです。
今、あるセルフビルダーの相談を受けています。
この方はスイス人なのですが、屋根を瓦で葺きたいといいます。
それは良いのですが、下地に防水シートを使いたくないと言います。
そして、どこで調べてこられたのか「とんとん」を使いたいと言ってきました。
私の頭の中では「とんとん」はすでにこの世に存在しないものとして位置づけられていて、もしあったとしても、お茶室用の材料として非常に高価なものとして流通しているに違いないと思っていたのです。
そういうあきらめ気分ではいたのですが、それでもと思い知っている工務店さんにいろいろ聞いているうちに、実はあるんだよ、今でも普通に買えるんだよ、という情報が舞い込んだというわけです。
これは、青森県にある「大上木材工業株式会社」というところで作っている「コロシート」というもので、一枚一枚の「とんとん」を縫い合わせてロールにしています。「とんとん」の弱点である手間がかかるということを、ロール状にしたことで一気に解決しているわけです。
先日、そのセルフビルダーにこのサンプルをお渡ししましたら大変喜んでおられました。
相談を受けた私の役目も、まずは無事に果たすことが出来たようです。
いつも面白いものを見付けてきますねぇ、、、
バンブーネットとかと同じ、現代版の伝統素材ですね
(!!)。さま
>いつも面白いもの
そういう星の下に生まれているのかもしれませんね(笑)
屋根の改修時に瓦を剥がすと、これが一斉に風で飛び掃除で大変な思いをします。
劣化した物は結構、厄介ものなのです。
まだあるのですね〜
tanaka-kinoieさま
まだまだ古い家では瓦の下地にとんとんを使っているお宅もありますね。
そういうお宅の屋根の改修は手間がかかると思います。
でも、このロール状になったとんとんならば
ずいぶんとその手間も省けるような気がします。
でも、一体誰が使うのかなと、実物を目にしたいまでも不思議な気分です。
パンダみたいな名前ですね。
どこから「とんとん」と名付けられたのでしょうか。
これ、スクリーンとしてお部屋のインテリアにもいいなぁと思いました。
スイス人の方から相談とは、
何か、アルプスの少女ハイジの山小屋をイメージしてしまいました。
ヨーゼフもいるかな?
reirei さま
一枚一枚の木の板を
竹の釘で止めるのですがその時の音が「とんとん」といっていたから、という説がありますが、はたしてどうなんでしょう。
そういえば「アルプスの少女ハイジ」はスイスのお話でしたね。
今度、あった時にハイジのことを知っているか聞いてみましょう。
他に転用できそうな面白い素材ですね。たしかに。
nt-lab さま
これを何重にも重ねて葺いたら、それで屋根が出来ちゃうような気がします。
外壁にもなる。
違う使い方、面白そうですね。
ちなみに、意外とリーズナブルな値段ですよ。
今頃になっての書き込みで失礼致します。
これ、用途を伺って「へ〜え!」と感心しましたが、なんとも魅力的な質感でありますね。他の用途にも使えないかなあ…インテリア、それから作品の素材として(一体何を作ったらいいのかわかりませんが)。上に何か描いてみたい色をつけてみたい、ただ持っていたい。欲しいなあ「とんとん」。
kadoorie-ave さま
これ面白いですよ。
サンプルをとってみられることをおすすめします。
「大上木材工業株式会社」で検索すれば連絡先はすぐにわかると思います。
手にすると、さらに創作意欲がわいてくると思います。
室内の壁に使っても良いかなと、私も思いました。