今朝の毎日新聞に載っていたコラムです。(クリックすると拡大します)
読んで、いろいろなことを考えてしまいました。
私も二世帯住宅の設計を依頼されることが多く、ご両親の世帯と若夫婦の世帯の関係についていつも頭を悩ませ、それぞれのご家族に一番あった「かたち」を作り上げることに集中します。
家を新築する前から同居していた二世帯のご家庭でしたら、今までのルールを見直すことで、二つの家族の関係性が導き出せるでしょう。設計のプロセスとしても、今までの生活の見直しを最初にしてもらうことになります。これからの生活をより良いものにするための問題点の洗い出しとその解決方法の検討ですね。
ところが、今まで一度も暮らしたことのない二つのご家族が新たに同居するとなると、なかなかその問題点が見えてきません。建て替えで、可能であれば仮住まいの生活で同居を体験してもらうようにお願いしたりします。ただし、仮住まいでの生活は長くて半年程度ですから、同居する時の問題点はなかなか見えてこない。それでも、いきなり同居するよりは心の準備もできていて良いようです。
このコラムのご家族の場合には、お父様が亡くなられてお兄さまご家族がご実家をリフォームしてお母様と一緒に暮らすことになりました。リフォームする時にいろいろ検討したに違いありません。玄関は一緒か?台所は一緒か?御風呂は一緒か?洗濯機は一緒か?洗濯干場は一緒か?
また、新しく始まる生活では、お母様とお兄さんご家族は一緒にご飯を食べるのか、別々に食べるのか、朝ご飯だけ一緒、夕ご飯も一緒、孫といっしょ、二つの家族が一堂に集まれる場所は必要か?
二世帯住宅でクリアしなくてはいけない問題は、ちょっと書き出しただけでもすぐにこれだけのことが出てきます。
こうした問題点について、我々設計者はひとつずつご家族とお話しながら、最終的にひとつのかたちになるように設計を進めるのです。ひょっとしたら、2軒家を建てる方が良いという結論が出るかもしれませんが、それは家族それぞれに違った答えが出るのだと思います。
たぶん、想像でしかありませんが、このコラムのお母様は、同居するにあたり遠慮されたのではないでしょうか。若いご家族の邪魔にならないようにする。でも、遠慮はいけません。その遠慮をちゃんとまわりの人もわかってあげないといけません。その遠慮をうまくくみ取れないと、悲しい結末がやってくる。
設計者にどこまでできるかわかりませんが、せっかく作る新しい家なのですから、そこで幸せな時間が営まれて欲しいと切に願うのでした。
なるほど考えさせられる話です。・・・・
婿、嫁どちらが同居するかで変わってきますが、難しいところですね。
うちの母親もきっと寂しいのかな〜なんてふと思い出しました。
tanaka-kinoie さま
10の家族があったら10の家がある。それを丁寧にかたちにするのが我々の仕事ですし、そこにこそ、我々の仕事の喜びもあるのだと思います。
このコラムを読んで、ある種の無力感におそわれました。我々に出来ることってどういうことなんだろうか。これからも考え続けていかなくてはいけません。
切ないお話ですねえ。建築の門外漢からしてみれば
これをお嫁さんが読んだら気分悪いだろうなあとか、小姑の立場がめんどくさそうとか
女性週刊誌的な発想が沸いて来てしまいます(笑)
このお母様は気持ちが少し弱いところがあるようなので、ネガティブに考えてしまったのかもしれませんが、
孫の声が聞こえるなんてステキだと思いますけどねえ。
難しいですね。
もきょsama
まったく切ないです。
いろいろ想像してしまいますし、家族のことはその家族にしかわからないことだったりします。そこがやはり一番難しいですよね。
私は、その難しさ、実は家族同士でも難しかったりしますが、その難しさを柔らかく解きほぐしてあげたいと思っていたりします。みんな、幸せになって欲しいなあ。
私の母は同じ敷地内に兄夫婦と住んでいます。
家は2つです。
ところが用事がないと全く誰も来ない、と言うのです。
隣に住んでいながら寂しいらしいのです。
まだ仕事もしてますし、寂しいなんて思う人ではないと思いこんでいたのですが
段々歳をとると寂しさが強まるのではないかな〜と思いました。
それで、私も毎日メールして、なるべく行ったり来たりするようになりました。
親子でも歳をとる寂しさを理解するのは難しいです。
なぜなら子供のいる世帯などは毎日の生活が忙しくて
そういうことを考える暇がなないみたいなんですよ。
私はどちらかといえば、母は兄にべったりだと思っていたので
そういう孤独感には気づきませんでした。
すぐ近くに家族がいるのに寂しいっていうのが一番寂しいですね。
お母様が 望みをキチンと言えない気持がわかります。
だって、自分の存在が 大切な子ども達家族の重荷になるほど 辛い事はありませんもの。
子ども家族と言っても 全員の意見が一致しているとも思えませんし
何が一番か・・・・・なんて 有り得ない答えを求めるような事で、
建築家がそのように責任をお感じになるのだとしたら、ほんとうに大変なお仕事ですね。
家の造りはもちろんですが、結局の所 その後の次々に出てくる「きしみ」を
家族の誰かが気付いて その度に解決して行くしか仕方ないように思います。
毎日 毎日の暮らし方を 微調整するしかないんじゃないかなあ・・・・・。
読んでいて 自分はこれからどうするのかなあと思いました・・・。
reireiさま
>すぐ近くに家族がいるのに寂しいっていうのが一番寂しいですね。
そうなんですよね、きっと。
遠くにいれば、あきらめもつくというものでしょうし、人間というのは想像力というものがありますから、遠くにいる方が良いという面もあるかもしれません。
どちらにしても、子供が世帯を持つと親子の関係は分裂します。うまく分裂できれば良いのですが、そこがなかなか難しいのだと思います。
光代さま
親しき仲にも遠慮あり。
あれ?違いましたっけ。
それはともかく、ケンチクカニハナニガデキルノデショウカ?
何もできないかもしれませんね。でも、話を聞いてあげることならできます。まずは、そこから、というところでしょうか。
私の祖母は父と同居していました、毎日喧嘩ばかりしていました。
祖母の妹さんは息子さんと、この記事のような別離二世帯住宅。妹さんはやはりうつ病になったりなおったりを繰り返しておられました。
ばあちゃんは喧嘩していてもうつにはならず、ずっと息子のそばで家を守るのがシアワセと思っていたようです。
同居できないなら、はじめから遠慮なく言うべきだ。中途半端な二世帯住宅というのははっきり言って残酷過ぎる、と私は思います。
おばあちゃんたちも、お母さんたちも、もっと明るく助け合って生きて行ければいいのになあ。
コメイノチさま
>同居できないなら、はじめから遠慮なく言うべきだ。中途半端な二世帯住宅というのははっきり言って残酷過ぎる
たしかにその通りかもしれませんね。
でも、それでも、一緒にいたい。残酷なこともあるかもしれないけれども一緒にいたいと思っているのではないでしょうか。ゆえに、とても、難しい、のだと思います。