「家族の勝手でしょ!」—岩村暢子

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「家族の勝手でしょ!」
著:岩村暢子 出版:新潮社
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1998年から2002年までの「食DRIVE」調査をまとめた「変わる家族 変わる食卓」の続編です。2003年以降、2009年までの調査結果が、今度は豊富な写真で紹介されています。
前著も衝撃的でしたが、今回は読み進めるうちに、言いようのない不安感が湧いてきました。それは、一体どこから来るのだろうかと思っていたのですが、先日、電車の中でこの本の頁をめくっているときに思い当たりました。
それは、本音と建前につきまとう「矛盾」の不在です。
好ましい理想的な食事のあり方について語る主婦たち。しかし実態はそこからかなり乖離しているというのがこの調査が明らかにしているところ。ここには主婦たちの本音と建前があるわけです。
ところで、私たちは、本音と乖離した建前を語る場合に、ある種の照れや、後ろめたさを抱きながら語るわけです。これは、ひとりの人間の中で本音と建前が矛盾として結びつけられているからだと思います。
ところが、この本の中で紹介される主婦たちの言葉には、この矛盾が存在しないのです。ひとりの人間の中にまるで二人の人間がいるかのように、本音と建前が共存している。本音と建前がまるで別人になって分裂している、この分裂感。この分裂感に私は言いようのない不安を感じながらこの本を読んでいたのでした。
これは一体何なのか?とてもとても深い深いものが、ここには潜んでいるような気がします。これについては、引き続き、その正体を突き止めるべく考えてゆきたいと思っています。

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