「デザインのデザイン」
著:原研哉 出版:岩波書店
ここしばらく考えていなかった「デザイン」について、ちょっと考えてみたくて、本書を手に取りました。
内容はといえば、面白くて刺激的、の一言につきます。
特に住宅に言及してる部分が面白かった。
日本の建て売り住宅の水準は高いとは言いがたい。住宅展示場に行ってみると少なからずがっかりする。外観もさることながら、画一的な間取り、工夫のない採光、床、壁、天井の素材の安っぽさ、門扉の不必要な装飾性、奇妙に凝った照明器具、フォルムに無駄を残すドアノブ・・・・。(中略)住宅事情の悪さを日本人は宅地価格の高さのせいにしたがるが、そうではない。住空間に対する美意識が成熟していないのである。つまり欲望の水準が低い。(P137)
私見だが、日本の住空間に関しては「土地付き一戸建て住宅」の購入を目標とする習性をそろそろ切りかえた方がいい。自由に売却できずに、そこに住まなくてはいけないのであればその土地が自分の資産であろうとなかろうと関係ない。むしろ空間そのものの質にもう少し目を開いたほうがいい。そのためには住空間を生活に合わせて「編集」するという発想を持つことが合理的であろう。基本的には床、壁、天井、キッチン、バス、トイレ、通信インフラ、収納、ドア、建築金物、家具、照明そして様々な生活雑貨で、生活空間は編集できる。そこに土地は入らなくていい。(p139)
「編集」ということが具体的にどういう事を指すのか、残念ながら詳しくはふれられていないが、原氏が関わった無印良品のコンセプトに通じているであろうことは間違いないですね。
この「編集」という作業は、私がいうハーフビルドの家づくりに 大きく関わっているであろうことは間違いのないことです。