拙著「木の家に住みたくなったら」という本が出来上がりました。
amazonでは11月29日発売で予約開始。
一般の書店には来週には並びそうです。
今回の本は、イラストレーターのアラタ・クールハンドさんとのコラボ。敏腕編集者の手腕も相まって、素敵な本となりました。
木の家についての、しゃちほこばらない、気軽に読める、絵本のような解説本が作りたいというコンセプトから始まった仕事でしたが、まさに当初の目標通りの本になったかと思います。
ぜひ、みなさんに読んでいただけたらと思います。
<「木の家に住みたくなったら」が出来るまで(アトリエフルカワ通信 Vol.433より>
「木の家に住みたくなったら」書店にも並び始めたようです。
今回の本、なかなかの反響で、執筆者としては嬉しい限り。
ところで、本を手にされた方で、著者名がどこにもないではないですか?
という問い合わせをいただいております。
今回の本は、建築家が書いた本、としない ということで
「木の家に住みたくなったら製作委員会」というクレジットになっています。
そのクレジットも、表紙にもカバーにもないのですが
この辺は、イラストレーターさんとデザイナーさんの強いこだわりがあってのこと。
私も、そのこだわりに賛同します。
いい本だったら、誰が書いたなんてどうでもいいですよね。
さて、その製作委員会ですが 上に書いてある4名
私(テキスト)(と
アラタ・クールハンドさん(イラスト)と
大杉さん(デザイン)と
三島さん(テープおこし) と
名前はありませんが、出版側であるエクスナレッジの藤山さんが実質的なこの本の制作に関わった人となります。
その下に書かれているクレジットは、この5名でヒアリングさせていただいた方々。
というわけで、今回の通信では
「木の家に住みたくなったら」の作り方です。
今回の本は、私の持ち込み企画ではありませんでした。
エクスナレッジの藤山さんから
「木の使い方をイラストで語る本」を作りたいということで依頼が来ました。
藤山さんとは、同じくエクスナレッジの「住宅工事現場写真帖」を担当していただいており
また、私が取りまとめ役をやった「世界で一番やさしい 木材」も藤山さんの担当で
木の本だったら私に頼むのがいいと思ってくださったようです。ありがたい事です。
しかし、巷には木の家の本が溢れかえっていて、どれもどんぐりの背比べで
そんななかに、どんな木の家の本を新しく作るのか、まったくピンと来なかったので
藤山さんには、この企画について、かなり否定的な意見をさせてもらった記憶があります。
しかし、それでも、藤山さんが持ってきた冊子のイラストの魅力は素晴らしく
そのイラストレーターが関わってくださるのならば、なにか新しいことができそうだと感じた私は、まずはお引き受けをし
イラストレーターさんと顔合わせとなりました。
調べると、2011年4月11日のメールで顔合わせの日程を調整していました。
そして、4月27日 初顔合わせ。
その時は、本の方向性は、定まっていない
構成も何も無い段階でした。
5月9日に私が作った最初の構成案を藤山さんに送付。
この時の仮タイトルが「木の家をつくろう」。
5月17日に構成案を修正。
タイトル変わって「木の家探検隊」。
藤山さんからそれに対する修正案が5月19日に届いていました。
この段階で、見て聞いてそれから考える本がいい、ということで
私がヒアリング先をコーディネイトすることに。これが仮タイトルの「木の家探検隊」です。
イラストレーターのアラタ・クールハンドさんにも
デザイナーの大杉さんにも
木の家のこと、木のこと、といった なかなかつかみにくい、そうしたことのイメージを
この取材で掴んでもらうことが出来たと思います。
それが、今回の本にあつみを与えてくれることになったのは言うまでもありません。
木材の品質のことならば 金子製材さん
そして、山の話は金子さんにご紹介いただいた木こりの上林さんに
木材の流通のことならば 協和木材さん
国産の木のことならば、使い方も含めて 木童さん
木の意外と知られていない防火性能については 安井昇さん
それぞれに突撃取材をさせていただきました。
取材には編集プロダクションの三島さんも同行。
彼女がこの時に録音したテープをテキストに起こしてくれました。
膨大な作業だったと思います。ご苦労さまでした。
そして、すでに6月。猛暑のような秩父を訪れました。
東京に出てきた協和木材さんをつかまえ、木童さんにおじゃまし
安井昇さんの事務所に押しかけました。
取材をしながら、構成案をみんなで練ろうと
7月12日に アラタ・クールハンドさんがお住まいのフラット・ハウスに集結。
新しい構成案について 藤山さんとなんどもメールでやり取りしている記録があります。
そのなかで、取材に同行してくださった三島さんから
ユーザー目線での貴重なアドバイスをいくつも頂き、構成案を作っていったのでした。
テキストも少しづつですが書き始めた頃です。
デザイナーの大杉さんから
完成した本のイメージを共有するために、ラフのデザインを出してもらったのが 7月29日。
一気に、本のイメージが固まってゆきました。
8月11日、ラフな状態ですがテキストを藤山さんに送付。夏休みをかけて原稿書きに明け暮れます。
9月14日、大杉さんから、ラフイメージが送られてくる。この時に、今回の本のイメージが出来ました。
9月21日、台風一過の東京某所で、最終的な構成案の打ち合わせが行われました。
午後1時半からはじまり夜中の10時までの長時間の会議でしたが
その日では終わらずに、もう一回、丸一日かけた打ち合わせを行い
それぞれがやるべき事を整理して、各自の作業に集中することに
http://af-site.sub.jp/blog/2011/09/post_1347.html
藤山さんと私は原稿のやりとりをなんども繰り返し、修正を加えてゆきました。
当初私が書いていた原稿の三分の一位に大幅削除。
テキストを限りなく減らして、イラストで読ませる構成です。
イラストレーターのアラタさんはここからが大変でした。
本を見ていただけるとおわかりになると思いますが
イラストの数といい、質といい、その辺の本なんて吹っ飛んでしまうくらいのものを、短期間で仕上げられたのですから。
入稿の予定日は一日程度お遅れましたが、それでも、すばらしい本になったと思います。
クレジットの話に戻りますと
テキストの大部分は私が書いていますが、
藤山さんと書きなおしのやりとりを繰り返して、一体どっちが書いたのかわからない部分もあったりと
一言で言えば、共同作業だった今回の本。
やはり、実情としても、建築家が書いた、なんて本じゃなくて製作委員が力を合わせて作ったといったほうがしっくりと来る本なのだと思います。
<本文補足>
p36 下の段のはみ出しで杉材の値段について解説している部分に次の1行を加えてください。
「しかし、製品となるには加工賃や乾燥費がかかるので、この3倍くらいになります。」