昨日は家づくりの会の有志とその仲間による
木の研究会で秩父は金子製材さんを訪問いたしました。
金子製材さんは機械グレーディングによるJAS規格材を生産しておられます。
今回の訪問の目的はJAS規格材の生産現場の見学と
木材の品質についての意見交換です。
金子製材さんを訪問する前に秩父の原木市場と
注文製材を中心にやっておられる横田製材さんを見学させていただきましたが
こちらについては金子製材さんの紹介があまりにも長くなってしまったので
別の機会に紹介させていただきます。
というわけで、まずは両刃挽きの製材施設です。
丸太は一面ずつ製材すると内部応力の関係で変形してしまうので
両側を一度に製材してしまうのがこの両刃挽きの機械です。
丸太はコンピューターでスキャンされその曲がり具合から
どのように製材するのが効率的か一瞬で判断され
コンピューターの指示のもと製材されます。
ここには目利きの職人技はありません。
機械のメンテナンスのために働く人がいるだけです。
製材された木材は乾燥庫で乾燥されます。
木材、特に杉材の乾燥に関しては金子製材さんは独自の品質管理の考えを持っておられます。
材をその断面の大きさから3種類に分けて、中低温・高温・高周波と3種類の参考方法を使い分けているそうです。
こうした細かな対応が含水率の個体差の、および個体のうちでの部分差の大きい杉材を計画的に乾燥させるには必要なことなんだと思いますし、それをやりきっている金子製材さんは凄いと思いました。
ここでは、なかなか見ることの出来ない高周波乾燥庫を見学させていただきました。
乾燥庫の内部には銅板の板状のものが仕込まれていて、これが高周波を発生させる心臓部だそうです。
なんだか、現代彫刻のようです。
こうして、乾燥が終わった材は一本一本の乾燥の具合と材料の強度を機械で調べグレーディングされます。
まずは、含水率の検査です。
この機械を通して材料の表面から内部まで複数のポイントの含水率を調べその平均値を出します。
こうした検査はすべてJASの基準によっているそうです。
次はヤング係数の測定です。ヤング係数とは材料の持つねばり強さです。
こうして調べた結果はディスプレイで確認できます。
そして、最後は一本一本の材料に印字されてゆきます。
最後は見学の後の意見交換会。
参加者は23名。静岡、福島からの参加者もあり熱心な討論が行われました。
個体差のある杉という材料に
どのように一定の品質を担保してゆくかというのは
大変な問題です。
その大変な問題に金子製材さんはとても合理的な考えと冴えで独自の方法を見つけビジネスとして成功させていました。
○金子製材株式会社
<おまけ>
お昼に食べた「秩父夜祭り弁当」
はじめまして
製材 機械引きがいいのか手引きがいいのか
手引きは今職人不足の状態です
曲がりを取るのに、背中・腹と引くと
時間がかかり費用に・・・が現状です
国産材の普及も難しいですね
minkaさま
はじめまして
金子製材さんでは一本の部材でも部所によって含水率など性質の異なる木材の品質をどのように担保付けるのか取り組んでおられます。
建材全般に言えることですが品質の担保付けは絶対条件となりつつあります。
木材だけ、難しいから出来ないという言い訳は出来ません。
そこを材を断面などの違いで三種類にわけたのが金子製材さんの工夫だと思います。
製材についてもコンピューターによる木取りでじゃんじゃんやっているのは柱のような大量に供給させるものだけのようです。一本一本サイズの異なるものについては、近くにある横田製材さんとの協業で実現しようとしているようです。今回の見学会では横田製材さんも見学させていただきました。そのレポートは追って報告させていただきたいと考えています。