2025年のご挨拶
年一回のアトリエフルカワ通信を今年もお送りできることを嬉しく思います。
2024年の私は後厄も終え、本厄の厄払いに始めた御朱印集めも5冊目に突入、今年も集めますよ。というわけで、2024年を振り返ってみます。
2024年はここのところ毎年参加している南雄三さんの建築視察ツアーでフィンランドとバルト三国に行ってきました。
なかなか行く機会のない場所に行けるのも南雄三さんのツアーの魅力ですが、今回はヨーロッパというところの歴史の深さを知る旅となりました。
そこは、スウェーデン、ソ連、ドイツなどの列強の国々によって様々な時代に支配されてきた地域です。その歴史が地層のように今も生きていました。
エストニアはフィンランドとの関係が地理的にも深く、ラトビアは中世からのドイツの影響を今も色濃く残している。リトアニアは欧州最大の国だった余韻を残す。
三国と言っても、その場に立って街の風をうけると、その文化の違いを身体で感じることができます。そうすると、1989年8月の人間の鎖で三つの国が一つになったということが大変なことだったということもよくわかります。ヨーロッパの歴史は島国で暮らす我々にはなかなか見えない。だからこそ旅に出てその空気を感じることが大切だとあらためて気付かされました。
また、今回の旅では建物のスケッチを描きました。ラトビアにある「三人兄弟」と呼ばれる建物は見た瞬間に「かわいい!」と心の声が叫びました。
あとは1時間半、スケッチブックと鉛筆に集中する時間になりました。熱心に描いていると他の国の旅行者が覗き込んで、とても素敵な笑顔を見せてくれました。
絵というのは世界を超えて行くんだなと思いました。(「三人兄弟」のスケッチはグリーティングカードにしてみました。)
海外旅行の他には、去年台湾を案内していただいた設計仲間の渡邉義孝さんに尾道の空き家活用を案内していただきました。尾道の空き家対策は歴史も古く多くの実績を残してきています。それが次の若者や移住者を呼び、良い相乗効果を生んでいました。これも行ってみないとわからないリアリティがそこにはあって、旅というものは改めて大切と思いましたし、今年は後厄も明けたことですからさらにどんどん外に出ていこうと思っています。
さて、設計の仕事では、京都の町家の改修工事が完成し引き渡しを終えました。新木場で作業所付き倉庫を木造で作ろうというプロジェクトは設計を終えて今年はいよいよ着工となります。あとは、三年越しでサポートさせてもらった建築工事の3/4をセルフビルドでつくる家(3/4_House)が駒沢大学駅近くで完成し、昨年末に見学会を行うことができました。
セルフビルドサポートはアトリエフルカワとして独立したときから、いくつも関わらせていただいています。一言でセルフビルドとは言ってもそれぞれ全く違ったサポートが必要で個別性が高いのが特徴です。三軒茶屋では工務店さんの請負ではなく施主直営式でやりましたし、東船橋では工事区分をシンプルにすることで工事の流れをスマートにしましたし、長野県の諏訪では奥様がインテリア関係のお仕事をされていたので、インテリア設計は奥様にお願いしました。
こうした仕事はクライアントがどんな家造りをされたいのかに耳を傾け、何をされたいのか、何ができるのかを整理することから始まります。サポートを依頼されてくる方々もそうした相談を求めている方がほとんどです。なかには、全部自分たちだけでやろうと思っていたけれども、打ち合わせを重ねていくうちに自分たちにできることが鮮明に理解できていったという若い御夫婦もおられます。
家造りには様々な選択肢があります。設計者に提案してもらって工務店にお任せでつくるやり方もありますが、そうではないやり方もたくさんあって、自分たちなりのやり方を見つけようとされている方がいらっしゃる。そうした方々の相談を受ける人が世の中には少ないのかもしれません。少なくとも、私にはその経験がある、そうしたことがネットで検索しているとヒットして、みなさんアトリエフルカワにたどり着くようで、これからも相談をお受けしていきたいと思います。
また、相変わらず講演会の依頼も増えましたし、工務店の設計サポートの継続的な仕事も増えています。「さいたま県産木材供給体制構築対策協議会」の全体のファシリテーターの大役を去年も仰せつかりました。こうした依頼はセルフビルドサポートと同じく、私が今までやってきた経験を活かして次の世代に伝えていく仕事です。
そんな中で、今年は次の世代に伝えていく大きな仕事が始まります。専門学校の専任講師となります。渋谷ファッション&アートという服飾の専門学校として始まった歴史ある学校に建築コースを新設したいという相談が二年前にあり、そこから打ち合わせを重ね、いよいよ国や東京都の認可もとってこの4月に開校となります。
この学校では、建築クリエーターを育てることを目標としています。クライアントとのコミュニケーション力、必要な空間、求められる空間を実現するためのアイデアを図面にして人に伝える力、こうした力は言われたとおりに図面を描きあげる訓練だけでは当然身につきません。現場を知り、素材を知り、そこで働く人達の姿を思い浮かべることができないといけません。現場で働く人達と一緒に作り上げるための図面が描けるかどうか、その力を身につけることが大切なのです。カリキュラムの内容など一切を任せていただきましたので他の専門学校にはない授業で建築の面白さを次の世代に伝えていきたいと思います。
加えてこの学校では、大学や専門学校では、今までなかなか教えてこれなかった木造建築の設計、あるいは既存建物の改修工事の設計についても大きく取り上げます。
今年の4月に迫った建築基準法の改正で木造住宅の構造から性能までを設計できる人材が必要になります。新築から既存利用へと世の中の転換期には既存利用のための技術を持った設計者も不足してます。そうした社会の求める人材の育成もカリキュラムの特徴になります。
未だ始まっていません、これからです、さてどんな授業がそこで行われていくのでしょうか?どんな学生が集まってくれるのでしょうか。今から楽しみでなりません。
というわけで、2025年は、社会の中での自分の役割、使命についてますます意識的に考える年となります。
そして、皆様方におかれましても2025年が良い年となることを願っております。
2024年のアトリエフルカワ
1月 和の住まい推進リレーシンポジュウムin奈良にてセミナー講師
西会津まちづくりフォーラムにて講師
2月 スギダラ萩大会(?)に参加
3月 家づくり学校修学旅行で沖縄へ
木材コーディネーターサミット@大阪にてコメンテーター
4月 かがわ木造塾にて講師
5月 武甲山登山
大林組研修施設ポートプラス見学
IM_Houseお引渡し
6月 宮城県CLT普及協会でセミナー講師
長野県木材フェアーにてセミナー講師
ロビンアリソンさんアースソングセミナー参加
dan_House 終の棲家としての改修工事
7月 「森と建築をいっしょに考える2024」非住宅木造セミナー全4回スタート
埼玉県県産木材供給体制構築対策協議会2025スタート
8月 高尾山登山 下から初めて登りました
岐阜県立森林文化アカデミーにて講師
9月 リフォームの寺子屋2024全3回スタート
10月 兵庫県木造建築セミナー講師
直島、豊島へ 豊島美術館に感動
香川県県木連セミナー講師
altanative forest Vol.16 魚ビジネスと森づくり
南雄三ツアー フィンランドからバルト三国へ
11月 JIA福井支部の千葉ツアーに参加
北アルプス国際芸術祭へ
3/4_Houseお引渡し
山口県木造建築セミナー講師
東京理科大学社会人コース講師
所属している写真サークルのグループ展に参加
12月 武蔵美 若杉先生のデザイン演習の講師 今期も努めます
3/4_House見学会 久しぶりの見学会でした