「泥まみれの虎—宮崎駿の妄想ノート」
著:宮崎駿
出版:大日本絵画 ISBN: 4499227909 定価:2625円(税込み)
「ハウルの動く城」の公開がせまった宮崎駿が描く戦争。
「泥まみれの虎」とはオットー・カリウス指揮するタイガー1型戦車。
第二次大戦、エストニア、ナルヴァ戦線。1944年3月。
宮崎駿は大変なメカ好き。アニメの中にも摩訶不思議な乗り物や機械がたくさん出てくる。
とくに、「天空の城 ラピュタ」のタイトルバック。あれはすごいですね。
そうした、メカのイメージの源泉はどうも戦車とか戦闘機のようだ。
もちろん、この本は、彼の戦車好きがこうじて描き始めたということなのだろうが
それだけだはない。それだけだったら、こんな本にはならない。
この本は、オットー・カリウスの自伝にもとづいている。
宮崎駿の思いは、
まだ寒いエストニアの戦線にいるオットー・カリウスはじめとする第502重戦車大隊第2中隊の戦いに、
そして、まだ21歳のオットー・カリウスが、「いかにそこにいたのか」へむけられ、
ひとつの眼差しとなってこの本に描かれてる。
「いちばん興味があったのは、オットー・カリウスのあのへこたれない精神というのはいったいなんだろうっていること、そこだったんです。しかもあのナルヴァ戦線の話を読むと、どうもこれはぼくらが考えていた戦闘とは違うやり方が行われていたらしいので、なんとかして自分がわかりたいというのが大きかったんです。その結果、マンガを描いてゆくと、戦争ってのはすさまじいものなんだってことがどんどんわかってくるだけでしたね。」
宮崎駿が描くもうひとつの戦争がここにはある。