風の帰る場所—ナウシカから千尋までの軌跡
著:宮崎駿 聞き手:渋谷陽一
出版:ロッキング・オン 定価:1600円(税別)
「風の谷のナウシカ」は映画で観て、好きだけれども
ちょっと気恥ずかしい感じがしていた。
コミック版を読んで、こりゃあえらいマンガ読んじゃったなあ、と正直に思った。
「魔女の宅急便」も「紅の豚」も映画館に行った。
でも、今のように「宮崎駿を絶対に支持します!」とは言えなかった。
すべて、この本を読んでからです。
単刀直入に本文から引用しますね。
「いや、だからそれはもうねえ、このあいだも、例の同時多発テロのことを友人と話していて、『いやあ、これはエライことになりましたなあ』『こんな大量消費のバカなことをやってて文明はめちゃめちゃになります』って話してたんですけど、その会話の席にね、もっと駄目になるとわかっている日本で生きていかなきゃいけないその友人の娘がチョコチョコっと歩いてきたらね、この子が生まれてきたことを肯定せざるを得ないよねって、とにかくそれだけは否定できないというところに落ち着いたんですよ。その子の存在と、この日本の状態とか世界の状態っていうのにどういうふうに橋を架けてゆくか、この子はどういう目に遭うのか、そん中を超えてゆけるのか、そん中で踏み潰されてしまうのか、それも含めて、この子が生まれてきたことに対して、『あんたはエライときに生まれてきたねえ』ってその子に真顔で言ってしまう自分なのか、それともやっぱり『生まれてきてくれてよかったんだ』っていうふうに言えるのかっていう、そこが唯一(笑)、作品を作るか作らないかの分かれ道であって、それも自信がないんだったら僕はもう黙ったほうがいいなっていうね。」
ずいぶんと長い引用になってしまいましたね。
この言葉は、こうして書き留めておきたい言葉のひとつです。
僕のブログを読んでくださっている方々にも読んで欲しい。
というわけで、「宮崎駿を僕は絶対に支持します」と、声を大きくして言っちゃたりするんです。
<以下、余談です。>
ところで、みなさん。「ロッキング・オン」って言う雑誌、知っていますか?
僕は高校時代に欠かさず買って読んでいました。それも隅から隅まで。
当時は大友克弘が見開きのマンガを連載していたりして、それも秀逸。
以前のエントリーで中学生時代の小椋佳のことを書きましたが
高校生になって僕はこの「ロッキング・オン」に出会います。
その前に、NHK-FMで渋谷陽一がディスクジョッキーやっていた番組を、ラジオにかじりつくように
聴いていたのですが、「ロッキング・オン」というのはその渋谷陽一が編集長を務めるロック専門の音楽雑誌です。今でもありますね。人気はおとろえていないようです。
ロック専門の音楽雑誌では「ミュージック・ライフ」というのがあって、そちらはアイドルなんかも取り上げられていたのに対して、「ロッキング・オン」は硬派な雑誌でした。今思えばずいぶんと理屈っぽい雑誌でしたね。その雑誌の影響で、ロックに目覚める高校時代。そして、高校時代の後半はジャズに出会います。それはまた別のエントリーで。