「建設費高騰のこと」
ここにきて(2023年3月)建設費の高騰が止まりません。
もとを辿れば、世界的なコロナ禍から起こったウッドショックがあります。
ウッドショックは2021年の3月から起きていますが、一時期は木材の入荷の見通しが立たなくなり、工事着工ができないなどの問題が全国ニュースでも流れました。しかし、これは、アメリカからの木材が日本に入ってこなくなって起きたことで、日本の木材を中心に使っていた工務店さんには大きな影響はありませんでした。しかし、アメリカの木材に頼っていた工務店さんにしてみれば手に入るものならということで国産材にシフトチェンジしたところも現れ、その影響で国産材の価格も2割程度ですが上がりました。
木材については、すでに落ち着いていて、ストックもかなり確保されているようなのと、国産材の流通がこの機会に少し整備されたこともあって、今後は大幅な価格変動に悩まされることはないと思おいます。
しかし、ウッドショックのときに、実は一番問題として長引いたのは給湯器とウオシュレットなどの設備機器でした。これについては完全にコロナ禍で海外の生産工場が軒並み稼働をストップしたために起きたことです。これもコロナの沈静化とともにほぼ回復したと言っていいでしょう。
では、なぜ、さらなる建設費の高騰が言われているのでしょうか?これは、コロナ禍でおきていたことがウクライナの問題で再浮上したためです。つまり、コロナ禍で起きたことというのは正解の流通の混乱です。そして、ロシアとウクライナの戦争は世界の流通を再び混乱に引き入れているのです。
世界は相互に資源や物資を輸入輸出しあいながら助け合っています。この助け合いの関係が、ほころび始めてしまったのです。このほころびは回復するのでしょうか?数年前のように回復するのは難しいと考えます。その影響がすべての資源の価格を混乱させていて建設資材についても高騰が余儀なくされているのです。
これを書いているのが2023年3月12日ですが、4月から衛生設備機器の値上げが発表されています。夏までにさらに上がると予想されている。また、原油価格の高騰は物資の輸送代金として跳ね上がってくる。職人さんの移動についてもガソリン代の高騰は大きな影を落とす。さらには、電気代金の高騰も建設費に大きく影響してきています。
この建設費の高騰をどうやって乗り切っていくのか?私たち設計事務所は問われています。
ローコスト住宅を得意としているアトリエフルカワでも今までのように1500万円の住宅を引き受けるのは容易ではない、いやいや、かなり難しくなっています。しかし、設計の合理化で資材を無駄なく使うことができればかなりのローコストも可能と考えています。
しっかりとした性能の高い骨組みを作って、そこでシンプルな生活を実現する。家を「ベース」と「トッピング」で考える、以前に拙著「ローコストで最高の家を建てる方法」で書いた考えが大切になる時代が来たのだと思います。
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