機会があり2016年8月9日に熊本の被災地を視察することが出来ました。
車を借りて市内から益城町を経由して津森郵便局から小谷集落をみてきました。
途中、あまりの暑さに飲み物を求め津森神宮に立ち寄ってきたのですが
山門の被害が興味深かったので写真に撮ってきました。
この山門は一見するとまったく地震の被害にあっていませんでしたが、
よく見ると、強い地震の揺れで、建物が壊れるのではなく礎石からずれ落ちていました。
足元を見ますと、この山門は礎石の上に置いてあるだけだったのです。
現在の建築基準法では建物は基礎にしっかりと固定することが義務付けられています。
この山門も法律を順守するなら礎石と建物をつなぐ必要があったわけですが
しかし、もし、この山門が礎石に固定されていたらどうなっていたでしょうか?
たぶん、このような姿を留めていることはなく倒壊していたに違いありません。
地震というのは、人類が未だにその全容を把握できていない自然現象なのだと思います。
熊本の被災地を歩くと地面が波打って動いた痕跡をあちこちで確認することができました。
そのような地震の動きは我々の想像を遥かに超えたものだと感じました。
それを充分に理解したうえで、我々設計者に何が出来るのかを問うていかなくてはいけません。
安直な技術への過信は自らを滅ぼすことになる、そんなことまで考えて熊本をあとにしました。