饒舌抄
著:吉田五十八 出版:新建築社
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建築家吉田五十八は現代数寄屋を完成した人として有名ですが
その吉田五十八が書いた物をまとめたのがこの本です。
この本を読むと、住宅を設計する者として、時代は変われども今でも参考になることがたくさん書かれていることに驚くばかりです。
社会は変わり、建築の社会的な意味は大きく変わっても人の生活というものは意外と変わっていないのかもしれません。とすれば、建築家の社会的な存在意義も大きく変わり、公共建築など「大きな建築」を手がける建築家の姿も変わってきたのに対して、住宅という「小さな建築」を設計する建築家の姿はそれほど変わっていない。ゆえに、今の我々にも吉田五十八の言葉に学ぶことは多いのだろうと思います。
そういえば、吉田五十八の評伝「建築家吉田五十八 」という本があります。
この本を読みますと、吉田五十八は自ら考える数寄屋の世界を実現するために多くの職人さんと激しく闘ったということがわかります。今まで和室は大工さんの世界だった。建築家は洋室の設計はしますが和室は大工さんに任せていた。しかし、それでは、新しい時代の和室、それは世界に通じる和室ということなのですが、は出来ないと吉田は図面を引き、大工さんにそれを作ってもらおうとする。そこに起こる軋轢。激しい葛藤。大工さんからの大いなる抵抗。そういうただごとならぬ状況を生き抜き、勝ち抜いてきた吉田五十八は、ただの良いところのお坊ちゃんなどではなかったということに、大きく心揺さぶられます。
吉田五十八は数寄屋をつくったと言われますが、その裏返しとして古い数寄屋の世界を打開したのです。そのパワーは現存し世田谷区で保存され一般に公開されている猪俣邸の隅々から感じることが出来ます。
もう一回、読み直そうって思いました。
nt-lab さんも
うなずくところが多いと思います。
ぜひ再読を。
僕もたまに読み返してます。
若い人にもよく勧めます(^^)
さすが、ピョン太 さま
この本は良いですねえ。
この歳になって読み返してさらにその良さが分かります。
噛めば噛むほど味のでる「するめ」のような本ですねえ。