18日は木の研究会@家づくりの会で
足利市で独自の家づくりに取り組まれている丸山純夫さんを訪問しました。
丸山純夫さんはアーキテクトビルダーです。
設計施工の工務店ではありません。施工を請け負う建築家です。
木構造用の引っ張り金物である「鬼に金棒」の考案者としても知られています。
まずは、最近のお仕事を拝見させていただきました。
内部は端正な民家型ですが、とてもスマートです。
ちょっと、設計のうまい工務店の仕事とは一線を画しています。
また、大学を卒業したあとは構造設計の事務所に務められたそうで
構造計算もご自分でできるそうです。
丸山さんの設計では120角の窓台・まぐさを横材として各所にいれています。これをいれると限界耐力計算では高い評価ができるそうです。壁量の計算では考慮されない構造要素についても設計者が把握しておくことの大切さを教えられました。
さて、お仕事を拝見させていただいたあとで
丸山さんの仕事場を見学させていただきました。
驚いたことには施工だけではなく木材の調達までご自身でやられていました。
20年前に足利で仕事を始めた時に
扱う木材が乾燥材でなかったためにいろいろ困ったそうで
乾燥材をどうやって入手しようか試行錯誤されたそうです。
いろいろ学ぶうちに葉枯らし乾燥を知り
林業組合に掛け合って葉枯らし乾燥をやってもらえるようになったとのこと。
丸山さんは原木で買っているそうですが、代金の支払いは葉枯らしが済み製材されてからだそうで
こうした山側からの配慮があるのも丸山さんの熱意が通じたためだそうです。
製材は、原木の丸太を梁と5分の貫、1寸の板柾、1寸5分の内法材の4種類にわけ
梁材は180mmと240mmに統一しています。
これは製材の手間の合理化と材料の無駄を省くためです。
原木から購入されるわけですから一本の丸太を無駄なく使うことを考えなくてはならないと言っておられました。
また、現場での作業性や、建物の精度・気密性などの品質を確保するために、丸山さんは独自のパネルシステムで設計されています。
そのパネルの製作過程を見せてくださいました。
柱は基本的に910mmピッチで入れる設計になっていて
建物の断面はすべて同じで、梁材もサイズをそろえていますから
パネルの大きさが標準化できるわけです。
真壁の仕様にされたのも、建物の出角とか入り角の役物が不要になるからだと言っておられました。
パネルを製作する機械は
ご自身で考案されたものだそうです。
機械に枠材の部品をセットしてベニアを重ねます。
釘は自動で等間隔に打ち込まれパネルが完成でします。
構造用合板と石膏ボード、杉板と三種類の組み合わせで表裏の組み合わせを決めます。
杉板の場合には釘打ち器はフィニッシュ打ち機に交換されます。
石膏ボードが張られて完成したパネルです。
パネルは2本の溝で柱に落とし込まれる構造になっていて
気密性を高めています。
その後、会場を移し
鬼に金棒の説明をしていただきました。
引っ張り金物で施工後の増し締めが容易に出来る金物です。
価格もそれほど高くない。
主要な構造部の接合箇所に 私もぜひ使いたいと思いました。
そして、最後は意見交換会です。
参加者のみなさんともども有意義な一日となりました。
最後に、丸山さんがおっしゃっておられたことで印象的だったのは
壁の仕上げとか照明器具などは施主に決めてもらうようにしているということです。
施主をまきこんだ家づくりを考えておられることでした。
丸山純夫さんという建築家は
建築を図面の世界から解き放ち
生産と直結させ、そこに施主を参加させようとしています。
丸山さんにお付き合いいただき、とても刺激的な一日であったことは言うまでもありません。
いろいろ勉強されているのですね!私もまわりを見てみると知らない事が多くてもっと勉強しなくちゃいけないなと思います。
パネルの機械
金物まで自分で開発されるとは、すごい方がいらっしゃるんですね!
木の研究会いいですね。
参加させていただけたら嬉しいのですが、
時間とお金が問題です。(笑)
iw-junさま
たぶん、いつの時代にも周囲のことから学ぶということが大切だったと思いますが、最近は特に、注意を払えば払うほど勉強になることがでてきて、それをどうやって整理していったらいいのか、自分の立ち位置がぶれないように、どうしていったらいいのか、その辺がポイントになってきています。
すぎのさま
今日の見学会はいかがでしたか?きっと盛況だったのではないでしょうか。
さて、丸山さんという方に出会って、ほんと、世の中には凄い人がいて、それを私たちはただ知らないだけなんだと痛感しました。もっともっと、たくさんの凄い人がいるんでしょうね。
すぎのさんも脚で稼いで凄い人とたくさん出会っておられると思いますよ。やはり、脚で稼がないと本物とは出会えないですよね。