sakura_HouseはJRの最寄り駅から歩いて3分のところにあります。
その駅からは東京まで40分、横浜なら10分かかりません。
しかし敷地は約9坪。
この土地を見付けられた建て主さんから連絡をもらいすぐに現地に。
さて、どんな家が出来そうなのか、ノートに簡単なスケッチをして購入するべきかどうか検討します。
ところで、みなさん、家にはどのくらいの広さが必要なんだと思いますか?
もちろん、広ければ広い方が良いのかもしれませんが
広いとお掃除も大変でメンテナンスも大変です。
もちろん、建設コストもかかりますし、広い土地も必要になります。
そこで、そのご家族に必要十分な家の大きさを見極める事も大切になってきます。
私は学生時代から山登りをよくやっています。
テントを担いで山を歩き、幕営地で一夜をすごす。
テントの中は広くて一人当たり畳1枚くらいでしょうか。
あるいは、山小屋に宿泊する。
夏の繁盛期の山小屋では畳1枚に大の大人三人くらい詰め込まれます。
これでは、寝返りもうてませんね。
しかし、これは究極的な世界です。日常ではないので何とか我慢出来るのでしょう。
では、日常生活する家ではどうでしょうか?
ここで、私が設計した家で一番小さい家のお話をしたいと思うのですが
それがsakura_Houseです。
この家はなんと建築面積が7坪しかありません。
そのまま2階の床面積も7坪。
そして、ロフトが3.5坪。
おまけに1階にビルトインガレージを設けていますから
1階の生活空間は3.5坪。
つまり、この家の生活空間の合計はなんと14坪なんですね。
(最初の画像は平面図です。)
もちろん、ここには階段の面積も含まれますから
実質的に使える床面積はさらに狭い事になります。
これで、ご夫婦とわんちゃん、文鳥、そして将来的には二人の子供を想定しています。
これもまた、テント生活同様に究極的な世界ですね。
まず、土地が9坪です。
こちらのご夫婦がこの土地を見付けてこられた時に
7坪しか建たない事。
道路斜線などの関係で完全な三階建ては無理であろうこと。
ビルトインガレージは作れない事はないが、生活空間を圧迫してしまうであろうこと。
そうしたリスクについて詳しく説明しました。
それでも、このご夫婦はこの土地に家を建てようと決断した、それもビルトインガレージ付きで、ですね。
場所はJRの駅から歩いて3分。
ここから、ちょっと足を伸ばせば広くて緑豊かな公園もあります。
さらには、中華街も歩いてゆける範囲。
彼らの判断は、都心への至便性。公園や中華街も含めて街そのものを生活空間に取り込みたいというしなやかな姿勢。逆に言えば、家は食う寝る最低限でもO.K.ということ。
そして、建て売り業者も見放した広さ9坪の三階建ても建たない敷地であるがゆえの破格の値段。
彼らのそうした総合的な判断を聞いた時に、最善のプランをつくることこそ、我々設計者の使命だと思いましたし、がぜんやる気が湧いてきたのです。
ビルトインガレージを設けて、浴室から外にでることが出来ること、キッチンは対面式で、キャンプ用品や各種電動工具の収納場所もたっぷりと用意する事。
こうした要求に一つ一つ丁寧に寸法を探り答えを導いてゆく作業の繰り返しでこの家は完成しました。
このエントリーの『タイトル』、常に自問自答を繰り返しておるところです(笑)。
近ければ、fuRuさんに教えを請いに伺いたいところですが…(笑)。
たかさんさま
7坪の家というのは挑戦です。
住まい手から設計者への挑戦でもあります。
設計者はそれを受けて寸法を極限まで合理化しようともがきます。
その試行錯誤なしにはこうした家は実現しないでしょう。
そして、それを支えているのは建て主さんの住まい手力だということも忘れてはいけませんね。
7坪とは究極でしたね。
僕も8坪までは計画しましたが・・・
さらにもう一坪減ってしまうと難しいですよね。
でも、面積的な狭さを乗り越えた、遊びのある空間になっていて・・・
さすがですね。
akatuki さま
私の小さい家仲間には5坪の家という強者もおりますので。
でも、小さい自慢していてもしかたがないですね。楽しくなくちゃ。